知らなきゃ損する OJTのツボ

管理者がOJTをするうえで役に立つ情報を発信します。

優先順位付けが苦手で重要なことを後回しにする部下への指導

優先順位付けが苦手というタイプの人がいます。

職場にも、大事なことは後回しで余計なこと先にする、そんな部下はいます。

A君は何が大事なのかがよく理解できていないタイプ。

B君は状況は把握して、何が大事なのかは分かっているものの、自分が気になることを思いつくと大事なことを忘れてしまい、いま気になることを優先しがち。

C君は大事なことはちゃんと分かっているが、急な変化が馴染まないのとルーティーンでやっている業務をとりあえず終わらせてから次に進もうという意識が強いタイプ。

A君は優先事項が分かっていないので、今はこの用件を優先することが大事だからと伝えます。

B君には、(思いつきで)始めた作業を先にやらなければならない必要性を尋ねます。そのうえで大事な用件を後回ししないようにと要求します。加えて、決して途中でよそ見はしないようにと釘を刺しましょう。

C君には、いま習慣化している作業をこのまま続けることは、大事な用件をするうえで支障はないのか尋ねます。そしてルーティーン作業はいつ終了するのか。優先事項はいつから始められるのかを確認します。

そして3人に共通して伝えること。改めて、どうしてこの用件を優先するのか説明し、いつまでにどんな状態にするのかという目標と基本的な進め方をしっかりと伝えましょう。

失敗したらどうなるかというリスクを考えずに行動する部下への指導

失敗を恐れずに挑戦するタイプの人がいます。

部下も失敗をしながら成長していくのですが、部下の中には、とにかくやってみなきゃ分からないと言いながら、リスクを考えずに出たとこ勝負的な行動をするタイプが存在します。積極的なところは認めるのですが・・・・。

こうしたタイプの部下の指導は・・・、

行動する前に作戦会議を開きます。必ず二の手三の手を考えさせましょう。どんぶり勘定、出たとこ勝負ではなく、どんなやり方で展開しようとしているのかを明らかにさせる指導が必要です。

このタイプの部下は、楽天家特有の良いことだけイメージすることが得意で、この先に予想される阻害要因といったものが予想できないようです。

ですから、作戦会議では部下の計画に対して、問いかけの形式で「仮にこんな障害が発生したらどうしようか」「M社の担当者だけじゃなくて意思決定者の要望も聞きたいね」「コンペになったら何を一番の売りにしようか」などあの手この手を考えさせましょう。作戦会議は予行演習の場でもありますから、顧客からの質問なども想定しましょう。

そして実際のアプローチが終わったら、振り返りの時間を作り必要なフィードバックを忘れずに伝えましょう。

相手の顔色をうかがって言いたいことが言えない先輩社員への指導

このタイプの人は、後輩を注意するとき、自分が悪いわけではないのに言い訳をしながら遠慮がちに注意します。「うまくいかなかったのは、私がちゃんと確認しなかったからだね。そこは私にも責任があるかな・・・」などと言いながら注意するのがこのタイプです。

間違いを指摘した際に、後輩が表情を変えて反論したりすると、自分が言いたいことを飲み込んでしまい、ずっと話を聞くばかり。結局妥協してしまう羽目に。

こんなことが続くと、「◯◯先輩、いなくてもいいんじゃないの」なんて言われてしまいます。後輩からナメられっぱなしで尊敬されなくなる危険性が。これでは今後の信頼関係にも影響します。

こうしたタイプの先輩社員の指導としては・・・、

反論してくる後輩に対して、「どんな行動が間違っているのか、それが間違いと言える根拠は何か。いつまでにどんなやり方で軌道修正する必要があるのか」をしっかりと伝えることが後輩指導には効果的であることを伝えましょう。

さらに「ここまでの途中報告といつまでに修正が完了するかは、課長に報告しておく」ことも忘れずに相手に伝えること。上司への報告は基本だと伝えましょう。

事実、上司としては現場のことが気がかりですから、結果だけでなく途中の報告もきちんと聞く必要があります。

期限が迫ってきてもなかなか着手しない部下への指導

問題を先延ばしする性格タイプの人がいます。

そんなタイプ人は、厄介な案件になると、いつまで経っても決めないままでいます。それはもう優柔武断というよりは決断放棄に近い。

自分の部下がこのタイプだったら・・・

自分で決めようとしないので、事態が悪化してもなかなか動き出そうとしない。

事態を見かねて周囲が軌道修正します。なぜ自分で判断しないのか問うと、本人は、誰かに聞こうとしているうちにこうなってしまった。自分で判断するつもりだったと言ってきます。

事態の悪化に気付かないわけはないのに、まるで何も見なかったかのように振る舞う・・・こんな部下は存在します。

こうしたタイプの部下には、仕事には期限があることを意識させましょう。「今度やる、そのうちやる、いつかやる」と口にしたら、何月何日の何時までというような期限を与えましょう。

フィードバックしないと、部下は遭難する?! 3

 また、フィードバックをする際は、以前ご紹介したように、基本として、進捗状況の振り返りとセットで実施します。

 

 部下に単なる報告をさせ、ダメ出しや要望を伝えるより、「振り返り」をして自己の行動を客観視してもらってから、フィードバックをする方が効果的です。

 

 あらかじめ設定した面談やミーディングなど定期的な機会でなくても、必要に応じて実施しましょう。

 

フィードバックのタイミングとしては・・・

 

①目標に向かってうまく進んでいるとき

 このフィードバックは、「うまくいっているよ」と伝えることで行動が促進されます。動機付けとなって届きます。

 

②行動に微妙な変化があったとき

 予定と違う行動が少し見えたときにします。その後の大きな変化(ミス)を予想したリスク管理に繋がります。

 

③行動が止まっているとき

 停滞していることを気付かせ、今後の活動を考える機会に繋げます。

  

④フィードバックを求められたとき

 自信がなかったり迷ったりしているのかも知れません。何かしら問題認識をしてそれを解決したいと考えているのではないでしょうか。自己成長したいという意思表示として受け止めましょう。

 

 

 こまめなフィードバックは、部下に安心と信頼を与えます。一人で仕事している孤独感からも抜けることができます。また、上司であるあなたのリスク管理にもなります。 部下のためにも、自分のためにも、ぜひ実行していきましょう。

 

 

 

(c)2016 We'LL ウイル・コンサルティング&kotonoha

フィードバックしないと、部下は遭難する?! 2

 「目標達成」という登山の最中に部下を遭難させないためにも、フィードバックを行いましょう。フィードバックを成功させるツボをご紹介します。

 

①フィードバックは早めに(タイムリー)に

 早めに行なうことで、残りの時間が多くなるので、軌道修正がやりやすくなります。早めの修正によって挽回できれば、目標達成の確率が高くなります。

  

 

②フィードバックの回数は多めに

 あらかじめフィードバックの機会を設定して継続的に実施します。堅苦しい面談でなくてもいいのです。毎週水曜はランチを一緒にとって話す、などのスタイルもいいかもしれません。

 継続的フィードバックは、部下にとってモチベーションアップに繋がります。

 

 

③現在地とゴール地点(目的地)を示す

 フィードバックでは、現時点(現状実績)でどこまで来たのか、ゴールとなる最終目的地まであとどのくらいなのかという全体像が見えるようにします。正確な進捗状況が確認できることが大切です。

 

 

④目標達成に向けて何をするのか確認する

 目標と現在地のギャップの存在を確認したのち、そのギャップを埋めるために、具体的に何をするのかを話し合いましょう。

 

 

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フィードバックしないと、部下は遭難する?! 1

 今までに<フィードバック」のテクニック>、<面談時の「振り返り」と「フィードバック」のセット化>の話をしてきました。

 フィードバックという行為を非常に推しているわけですが、一体なぜでしょう? 

そんなに必要なものなのでしょうか? 

 

 実は、フィードバックは、単に部下のモチベーションアップや育成のためだけではないのです。前回、フィードバックとは、相手が言ったことや行ったこと=“言動の事実”を受け止めて、それを承認すること。「いい点」「悪い点」を具体的に指摘して、上司としての感想を述べること、と紹介してきました。それにより「いい点」は継続してもらい、「悪い点」はやめて改善を図ってもらうわけです。

 フィードバックがないと、部下は客観性を持てず、現在の状況を正しく把握することができないのです。間違った方向性、遠回りなやり方をしていた場合でもそれに気づかずことができません。順調に目的に向かって進行していると思い込んでしまいます。そして現状を維持しようとします。人間は「ストップをかけられていないのなら、OKなのだろう」と思ってしまうものなのです(残念ながら、それが間違った方向に進む行動であっても、です)。

 さらに、現状が見えていないということは、何か問題があるか、あるいはこの先発生する可能性のある障害を想定することができないのです。つまり、リスク管理が行なえなくなるのです。

 

 例えるなら、山登りでしょうか。あなたとしては着実に目的地に着ける整備されたルートを通って欲しいのに、部下が危険な岩山ルートを行こうとしていたら、どうしますか? あるいはもう岩山ルートを進み始めていたら? 頂上(ゴール)に約束の期日までに辿りつくならなんでもいい、と放っておきますか? どこかでトラブルに見舞われ遭難してしまうかもしれません。

 また、部下が道を見失い、遭難していることすら気づかずに、どんどん前にいこうとしたら? 問題はどんどん大きくなりますよね。正しいルートに戻してゴールするまでに必要な時間、コスト、食料も増えてしまうわけです(これは部下の問題というより、管理職であるあなたにとっても非常な痛手になりますよね)。

 

 もう、お分かりですね。フィードバックは部下を「間違ったルートから軌道修正させるために必要」なのです。もちろん、進んでいるルートが正しい時には「OK、そのルートであっている。順調だ、そのまま進んでくれ」と伝え、前進を促します。

 

 

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「振り返り」で、OJTの効果を高める

面談、やってますか?

こまめにやってます、という方、きっといらっしゃいますよね。
では、面談の中で「振り返り」は、やってますか?
 
「振り返り」とは、言葉の通り、部下に自分の仕事状況、やり方などを思い返してもらうことです。「ここは大変だったけど、周囲の協力を得られて乗り越えられた」「あれはあのやり方をすればよかったのでは」など、その時は夢中で分からなかった良かった点、悪かった点、悩んだ点などを客観的に見ることができます。つまり、反省や納得、発見をすることができ、いわゆる「気付き」が得られるのです。
 
「振り返り」は一人でもできますが、さらに、その効果をパワーアップするために、上司からの「フィードバック」をセットにしましょう。
 
仮に、あなたが部下Aさんと面談しているとしましょう。Aさんとしてはこれがベストだと思い込んでいたやり方があって、それで業務を進めていたとします。それなりに結果を出していますが、実は上司のあなたは、その方法よりさらに効率的なやり方を知っていたとします。さあ、どうAさんに伝えますか?
 
「あのやり方が一番いいと思っているのか? もっといい方法あるのに! 教えてやろうか? 俺の経験から言うとだな〜」
 
・・・一昔前はこんな上から目線の上司、たくさんいましたね。
名付けて「教えてやろう上司」(苦笑)
言われた部下にしたら「なんだよ、じゃあ最初から教えてくれよ! やな感じ!」って、ちょっと腐りたくなりますよね。
 
では、フィードバック術で伝えてみましょう。フィードバックとは、相手が言ったことや行ったこと=“行動の事実”を受け止めて、それを承認すること。それによって相手に成功体験を提供する・・・と過去3回では書きました。
 
例えば、こんなふうに・・・(少しフランクな上司だと思って読んでください)
 
「Aさんにとっては今のやり方がベストなんだね。スピード感としてはいいやり方だとは思うけど、少しスタッフの負担が大きいように見えるんだ。何か対策はないかな?(僕が同じ担当だったときの経験を少し話すね)」
 
どうですか? こんな言い方だったら、無下にされている気はしませんよね。相手が頑張ってきたことを認めて、「いい点」「悪い点」を具体的に指摘し、改善を一緒に考えようというメッセージを送っています。
 
この「いい点」「悪い点」を具体的に指摘して、上司としての感想を述べているのが、振り返り中のフィードバックのツボです。「これが良かったんだ」「これがダメだったんだ」と部下一人では見えてなかったところまでの「気付き」を促すことができるのです(きっと部下の人は、ハッとするでしょう)
 
この伝え方をすれば、モチベーションを落とさずに、ダメ出しもアドバイスも受け入れてもらいやすくなります。
 
さあ、要望を一方的に伝えるだけや、部下の報告を聞くだけの面談はもうやめましょう。「振り返り」と「フィードバック」。セットがお得です!

 

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部下を動かすフィードバック術3

 前回、フィードバックで、相手の言動(行動の事実)に、OKや大丈夫を伝えること(承認)は、部下の「やる気・自発的行動」を促す効果があるといいました。

 世の中ではフィードバックのことを、個人的に呼び出して評価を伝えたり、振り返りをさせたりする面談のこと、と思っている方も多いようです。

 ですが、ウイル・コンサルティングでは、フィードバックのスキルは日常に使ってこそ生きると考えています。どんどんフィードバックして相手のやる気・自発的行動をもっともっと促しましょう!

 

  例えば、こんな風に・・・

 「さっきの会議でのプレゼン、データも揃えられていて、とても分かりやすかったよ。感心したよ」

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 一見普通の感想に見えるかもしれません。が、実はこれ立派なフィードバック。

 仮に、これはA課長がBさんに発したものだとましょう。Bさんが会議でプレゼンをしました。それにはデータがしっかり揃えられていました(←Bさんの行動の事実)それに対し、A課長は「とても分かりやすかった」との言葉を伝えています(←A課長からの承認)

 こんなことが成功体験になるの? 部下のモチベーションが上がるの? と疑う人もいるかもしれません。

 ですが、自分がBさんだったらどうでしょう? こんなふうに思わないでしょうか。

「A課長はデータが揃っていて分かりやすかったと言ってくれたな。よし次のプレゼンもデータをしっかり揃よう」

 具体的にどんな言動がOKだったのかよく分かれば、それが記憶にインプットされれば、次も同じことをしようと心がけますよね(これが成功体験の再現、繰り返しです)。

 地味なことだと思うかもしれません。けれど小さい成功体験も積み重ねれば、揺るぎない自信になります。フィードバックを通して「君のことをいつも見ているよ、信頼しているよ」と伝えることで、部下はモチベーションを上げて、自ら動いてくれるようになるのです。

 

<まとめ:部下を動かすフィードバック術のツボ>

・部下にとっての成功体験とは、上司の承認

・フィードバックで部下に成功体験を与える、または自覚させることができる

・ほめずおだてず、ただ部下の“行動の事実” を“承認”(OK)する

・“行動の事実”は具体的に伝える

・承認された行動を部下は繰り返すようになる

 

 以上は、あくまでもフィードバック術の基本です。実際のOJTではもっと複雑なことやNGを伝えなくてはならない場面も出てきます(こっちの方が多いよ! という声も聞こえてきそうですね)。ですが、基本をマスターしていないと応用はできません。まずは、今日から小さな成功体験を提供し、信頼関係づくりを始めてみてください。フィードバックがうまくいくことは、管理者のあなた自身の成功体験にもなりますから!

 

 

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部下を動かすフィードバック術2

 前回は、部下の「やる気・自発的行動」を促すためには、「成功体験」を上司が自覚させること、と記しました。 では、上司はどう働きかけたらよいのでしょう?

 

 誉めまくる ? おだてる? いっぱいおごる?

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 そんなこと、実は大切ではないのです。上司がやるべきは、とってもシンプル。

 フィードバックで、部下の“行動の事実” を“承認”すればいいのです。

 

  •  “行動の事実“というのは、相手のとった言動(こちらの想像や思い込みでなく、あくまでも相手のリアルな言動)です。
  • “承認”とは、相手にOKや大丈夫を伝えることです。

 

 ごく簡単に言うと、上司が「この行動はOK!」と承認すれば、「よし、あの成功体験をもう一度!」と動いてくれるようになるわけです。

 
 承認といって皆さんが思い浮かべるのは、SNSの「イイネ」ではないでしょうか。あれって、もらえるとなんだか嬉しいですよね。逆に、いつもしてくれる人がしてくれないと、寂しかったり不安になったり。いい年をしたおじさんといえども、ちょっと気分を左右されてしまうものです(笑)。
 
 “行動の事実”と“承認”についてもう少し具体的な話は、また次回に。
 
 
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