知らなきゃ損する OJTのツボ

管理者がOJTをするうえで役に立つ情報を発信します。

中小企業の働き方改革

中小企業の働き方改革(4)

 

働き方改革をするための取り組みその3は、社員が長く働ける仕組みの整備です。つまり人事制度を整備します。まずは人事制度を整備することが、働き方改革にどう繋がるのかという点を説明します。
働き方改革その1では、経営者の意識改革が必要であり、その実践として、「理念を追求し、評判を良くする活動を通じて信用財産を増やす」という取り組みを経営活動の柱にしましょうと提案しました。これまでの活動が売上利益最優先だったかも知れませんが、(もちろんこの活動も大事なことですが)、これからは優先する活動の柱が変わるわけですから、人事戦略も当然変える必要があります
今後は、経営として評判を良くして信用財産を増やしていこうという方針展開ですので、新たな資格要件やランクアップの条件変更、そして評価内容の見直しも必要です。さらに報酬の見直しも必要です。もちろん人材育成の仕組みも見直さなければならないでしょう。こうしたことは社員の働き方に大きく影響するわけですから、働き方改革をするために人事制度の整備が不可欠であるということが明白となるわけです。

話は少し逸れますが、人事制度を整備する理由は、次のようなことからも明らかです。
少子高齢化 によって働き手が思うように確保できないという現実は、中小企業にとってまさに死活問題です。人材不足が続けば「人手不足倒産」にもなりかねません。採用活動には多額の費用を投じていますが、なかなか応募がありません。いざ採用したものの、期待外れであったり、しばらくして仕事を覚えた頃には、他の企業に新たな職場を求めて行ってしまうといった事態が増加しています。こうした事態を経営者として対岸の火事見物とする訳にはいきません。危機意識を持って採用戦略、離職の予防策を講じなければなりません。
中小企業は採用に苦慮していますが、募集しても集まらない理由、集まっても入社に至らない理由として、人事制度の未整備が原因のひとつとして挙げられています。社員が定着しない理由もまた人事制度の未整備が原因のひとつとなっています。
実は求職者の声として、その会社で長く働けるかどうかを入社の条件として重視しているという意見が多く聞かれます。就職情報を扱う専門企業の調査では、入社の条件や会社を辞める理由として、自分が働く会社には、
   - 賃金報酬以外で自分が継続的に動機づけられるものが存在している
   - 将来(数年後)の自分の姿が見える仕組みはあるか
   - この会社の中で自分が成長できる仕組みはあるか
   - 上司のもとで成長できる仕組みあるか
   - ワークライフバランスの考え方が重視され、「心の栄養補給」が担保されているか
   - 長時間働くことを美徳として優先しない組織風土か

といった条件(求職者側の都合)が有るかどうかを重視しているといった報告結果を発表しています。
人事制度とは複数の仕組みが関係し合う複合的システムであり、我が国では「人が長く働ける仕組み」と定義されています。

こうした条件は「理想でありきれい事だ」といって採用活動は従来通り続けるという経営者はたくさんいますが、現実を見る限り、早いうちに手を打ったほうが良いのではないでしょうか。今ここで上記のような条件を人事制度に組み込んでいけば、当然、社員の動機付けになり、働き方は変わっていきます。さらには「ずっと働きたくなる仕組みがある会社」という評判が広がれば、自ずと採用戦略は有利に展開できるでしょう。
以上の点から、社員の働き方改革として人事制度の整備が必要です。さらには変革活動への取り組みを社外に向けてアピールするうえでも人事制度の整備は重要かつ優先する経営課題です。

それでは改めて提案します。中小企業での働き方改革を推し進めるには、
①経営者自身の意識改革の実行。「売上利益優先経営」から「理念追求優先経営」へのパラダイムシフトです。経営活動の柱は、理念を追求し、評判を良くする活動(働き方)を通じて信用財産を増や企業価値を高める活動です。
企業価値を高める働き方をするには、管理者の自己流マネジメントを改め、組織運営の基本原則を徹底します。それには教育投資を行ない、人材を育成することが必要です。
③新たな経営方針を現場に展開するには、働き方を変えていく仕組みが必要です。社員の働き方に大きく影響する人事制度の整備が必要です。

 以上、中小企業が働き方改革を進めるうえで必要な3つの柱です。


We’LL Consulting ©mit-ikeda