フィードバックしないと、部下は遭難する?! 1
今までに<フィードバック」のテクニック>、<面談時の「振り返り」と「フィードバック」のセット化>の話をしてきました。
フィードバックという行為を非常に推しているわけですが、一体なぜでしょう?
そんなに必要なものなのでしょうか?
実は、フィードバックは、単に部下のモチベーションアップや育成のためだけではないのです。前回、フィードバックとは、相手が言ったことや行ったこと=“言動の事実”を受け止めて、それを承認すること。「いい点」「悪い点」を具体的に指摘して、上司としての感想を述べること、と紹介してきました。それにより「いい点」は継続してもらい、「悪い点」はやめて改善を図ってもらうわけです。
フィードバックがないと、部下は客観性を持てず、現在の状況を正しく把握することができないのです。間違った方向性、遠回りなやり方をしていた場合でもそれに気づかずことができません。順調に目的に向かって進行していると思い込んでしまいます。そして現状を維持しようとします。人間は「ストップをかけられていないのなら、OKなのだろう」と思ってしまうものなのです(残念ながら、それが間違った方向に進む行動であっても、です)。
さらに、現状が見えていないということは、何か問題があるか、あるいはこの先発生する可能性のある障害を想定することができないのです。つまり、リスク管理が行なえなくなるのです。
例えるなら、山登りでしょうか。あなたとしては着実に目的地に着ける整備されたルートを通って欲しいのに、部下が危険な岩山ルートを行こうとしていたら、どうしますか? あるいはもう岩山ルートを進み始めていたら? 頂上(ゴール)に約束の期日までに辿りつくならなんでもいい、と放っておきますか? どこかでトラブルに見舞われ遭難してしまうかもしれません。
また、部下が道を見失い、遭難していることすら気づかずに、どんどん前にいこうとしたら? 問題はどんどん大きくなりますよね。正しいルートに戻してゴールするまでに必要な時間、コスト、食料も増えてしまうわけです(これは部下の問題というより、管理職であるあなたにとっても非常な痛手になりますよね)。
もう、お分かりですね。フィードバックは部下を「間違ったルートから軌道修正させるために必要」なのです。もちろん、進んでいるルートが正しい時には「OK、そのルートであっている。順調だ、そのまま進んでくれ」と伝え、前進を促します。
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